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アメリカでは貧しいほど太る?

12月に入り、部活動も休みになったので、近頃はストリートやビーチをひとりで走っているのですが、今さらながら気づいたことがあります。それは、人がランニングを楽しんでいるのは、ごく限られた地区だ、ということです。

私が通うボクシング・ジムがあるサウスセントラルは黒人街で、明るい時間帯でも、走る人どころか歩く人さえまばら。中南米系が集中するイーストLAあたりも、街はもう少しカラフルですが、今のところ、公園以外でランナーの姿は見かけません。その一方で、レドンド、ハモサ、マンハッタン、エルセグンドをはさんでベニス、サンタモニカと続くビーチ沿いの住宅街やサイクリングロードは、陽のある時間帯はいつでも人が走っています。高級住宅地パロスバーデス、ブレントウッド、ブレアやビバリーヒルズも、しかり。ビシっと最先端のウェアをまとった人々が颯爽とピッチを刻んでいくのは、珍しい風景ではないのです。

地区によって、はっきり住環境が違って、人の生活も違う、と見えます。 

体育講義の時間に、こんな話を聞きました。

―――現在、アメリカの全人口の58.9%が体重過多もしくは肥満のカテゴリーに入る。人種ごとにみると、アフリカン・アメリカン(黒人)のうち72.6%、ヒスパニック(中南米系)の67.2%、白人の55.7%、それ以外(アジア人、米インディアンを含む)の45.5%の人が、体重オーバーor   肥満である。(U.S. Department of Health and Human Service, Health Resources and Services Administration and Women’s Health USA 2005:Rockville, Maryland: U.S. Department or Health and Human Service, 2005)―――

これは各人種の食文化・体質の違いだけでなく、生活水準の違いも大きく関わっている、と教授は説明していました。端的に言うと“貧困なほど太っている”ということ。

この説を裏付ける事象が、二つ思い当たります。

1年半前にアメリカに来た時、ここの「食」はなんと貧しいのだろう、と感じたことを思い出します。ファストフードもファミリーレストランも、安い値段で超ド級のサイズのモノが出てくるのですが、油っこくて、甘過ぎるか辛過ぎるか、味がない、か。とりあえずオナカを膨らせるだけなら、お金をかけず超高カロリー食がとれます。が、値段がチープなら、栄養価も超チープ。

でもその一方で、Whole Foods TRADER JOE’SWILD OATSといった自然派マーケット・チェーンでは、低農薬無農薬、低糖、低脂肪、低塩の食材・食品がずらりと並んでいます。こういうものは、値段は安くはありません。Whole Foods店内のデリでフードバーを利用すると1パウンド(453グラム)で$6.99(+税)。でも、値段がハイレベルなら、栄養価もハイレベル。いかにもカラダによさそうで、買い物客も、いかにも「健康に気をつけています」という感じです。こういう店は、サウスセントラルの殺風景な街には決して存在しません。

そしてもう一つのファクターは、エクササイズ。

メキシカンのチームメイトは、一生懸命練習したり試合でいい結果を残したりしても、家族はほめてくれないと言います。「チームに入って走っている時間があったら、働いた方がいい」のです。言葉の問題、人種差別、低学歴、イコール低賃金。だからお金がない人は常に働いていて、慢性的にお金がない。そういう悪循環が出来上がってしまっているのです。たしかに、「走っている時間があったら働きなさい」と言われるでしょう。

ここでは、健康はまさに“贅沢品”。

この季節、どこもかしこもクリスマス・イルミネーションできらきらと輝いていますが、

世界一の超大国は、実のところ、あまり“豊か”には見えません。

こういうひずみが、いろんな意味でエネルギーを生み出すのかもしれませんが…。


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